私は、今日もあの館へと足を運んだ
館の周りには森が広がっており、森を抜けると街や都会が広がっているそうだ
それらの街の存在には私も知っている、そこに住んでいるのだから
そしてその館とは、一度閉鎖されたが何ヵ月後か経った頃に外国人の管理人が代わりに代行するようになった
そこは毎日のように「パーティ」が開かれるという異質な空間が広がっており、
毎日来る者もいれば、たまに来る者もいる
私の場合は後者だ
参加条件はパスを貰えれば年齢、性別関係無しに入場出きるし入場には一切料金はかからない
その代わりに中で売ってある服や装飾品にはお金が必要になるという
そして着脱はその館内でしか許されないそうだ
中に入ると常連や見たことの無い遠い場所から来る人達も沢山いる
無論、年齢によって多少の障害なる問題もあるわけで、その「狭い」館の中だと悪行はすぐに広まる
その分『嘘』の情報も流れやすい
私は館に着き、入り口付近の受付の無人機に近づくとパスを要求された
「お名前をどうぞ」
「音乃祇 まきなです」
自分の名前を名乗ると、その無人機は返答もせずに、目の先にある扉が開かれると
そこは「広がっていた」
雑談を楽しむ人や、共に顔を合わせて食事を満喫している者もいれば、隅っこの方で集団で何かわけの分からない事をしていたり、人によって異なった行動をする人達の光景が目に映った
知らない顔ばかりだ
私は来客用に用意されている椅子に腰をかけると、見覚えのある顔をした女がこちらに向かって手を振っている
私はその姿を見てすぐわかった
私とその女とお互い挨拶をして雑談を始めた
私が来る前からここに通っており、姿、形が最後にあった日と全然違うファッションだった
この館に置いてある、服や装飾品は外国人の管理人になる前では種類は全く異なった物だった
ちなみに女性向けに作られた商品が多かった
ちょっと興味はあるが、そんな話よりも周りの様子が気になりだした私は、女にここの様子を見る限りではとても活気が良いなと言った
その理由は、前の館の名残があったせいか、再び顔をあわせれた事の喜びと、前から気になっていた人とコンタクトを取りやすくなったためらしい
それを聞いて納得した私だったが、唐突に女から、私が過去に起こした事件のなんたらをを覚えているかと質問し出した
私には覚えが無い、そしてこの狭い空間なのだから
誰かが流した嘘に決まってる私はその質問を全て否定した、あるわけがない
それにしても前の館よりやけに明るいなと思った
活気があるというか、みんな楽しそうだ
私は過去の事を思い出し、ちょっぴり感傷に浸っていた、しかし回想の時間はこの女によってかき消された
女が私に話しかける
「この館が新しくなる前からずっと住み込んでる人がいる」 と
そう言った女は私と一緒にその人を見に行かないかと誘い出た
しかし
私がどうしようかと悩んでいると
私たちの中をぶった切る様に、後ろから男が怒鳴ってきた
「おい、お前ら あんなやつを呼んでくる様な真似するなよ もしそんな事してみろ お前らも追放してやるからな」
と言い捨て、私たちの反応を確認せずに去っていった
私はなんの事かさっぱりわからなかった
わからぬまま、私達は「そこ」へ向かおうと意見が一致した
私たちは電気設備も施されてもいない長い階段を上っている
自然と歩数が合う
私たち女2人横に並んで何とか進めるぐらいの幅で、階段を上る途中で殴り書きされた後が途切れる事無く目の前に現れてはすぐ視界から消える、そして再び現れる
書かれていたのは
「死ね」
「戻ってくんな」
「もう来なくていいよ」
「うざい」
「お前がいると空気が悪くなる、消えろ」
と、不細工な、歪な一言がそこらじゅうに書き巡らされていた
「ネカマ〜」
それを見た私は疑問に思い、隣で一緒に上る女に質問を投げかけた
「その人は男なの?」 と
そして女の答えは
「どうやら男らしい、だけど
性転換したっていう事も聞いたことがあるわ
あと、男好きというのもこういうことだったとね」
「だから声が高いのか」
微妙な気持ちでありながらも無理に事を済ませようとした
あともう一つ疑問だったのが
どうしてパーティに参加せず、引き篭もっていたのかを聞くと
怖いんだと
「その人」が言うには
外から施錠されてるから出ようにも出れないとの事を、噂で聞いたのだと
しかし会いに行く人が確認したところ
施錠はされていなかったらしい
ますます疑問に思う私は更に質問をその女に突きつけた
そもそもなぜ「その人」は『怖い』と思っているのか
しかしその質問の答えが返ってくる前に
「その人」の部屋の入り口に着いてしまった
ドアはノブ付きの小さな木製ドアだった
ボロボロでカビも生えている
そこが一番落書きが酷く、ドアを中心に、なにかの生物がドアを囲むように伸びているように見えて気味が悪い
灯りも無く手元にもなんの灯火も無い私たちの周りに作られる暗い空間は、さっきのパーティ会場の様子と一変した空気に慣れず、私は悪感した
少なからず隣の女もそう思ったに違いない
私はこの空気に耐え切れず、早く中を確認して去りたいという気持ちで一杯だった
当然、このドアの先にもこれ以上に経験したくない景色が目に飛び込んだとしても
「終わり」があるのならさっさと経験して去りたい
そんな気分だ
私は思い切ってドアを開ける
腐りきったノブのみが抜けてしまいそうだったが、なんとか開け切った
すると
そこに広がっていたのは
「理…」と書かれたような本の1ページ1ページがめちゃくちゃに散乱しており
チーズの様な食べ物だと思わされる物が干からびて転がっていたり
楽譜も散乱しており
そこには
「ambient × breakcore」というありえないジャンルが書かれた横に大きな『×』印の入った毟り散らかされた跡がそこらじゅうに散乱してあった
そんな光景を見ていた私の向かい側に風がたくさん入り込むぐらいの大きな窓が全開にされていて
送られる風に運ばれる「紙屑」が私の露出した足の肌に触れて寒気がした
無駄に強い風がこの部屋の中で暴れる中
何秒かその様子を見ていた私はようやく気が付いた
「その人が」居ない
ふと私は右を見ると、物陰に隠れたパソコンのモニターが薄気味悪く、水色の光を放っていた
私はそれを覗き込むと、なにやらブログを開いている
ブログ名
「OTONOME HARDBEAT」
更新日:2009/01/13(Tue) 23:32
体を起こして、また体の方向を変えて何歩か進んで、その全開に開けられた窓から下を覗いて見てみるが、夜な上に、底は森林なためか見えなかった
下のフロアから、あのパーティーの華やかさが僅かに伝わってくる
談笑する男の声、なんかのゲームで盛り上がる声、聞いているだけでも楽しそうだとわかるぐらい明るかった
外に向かって漏れるフロアの光が夜に溶け込み、上から覗くと不気味な演出だ
それに比べて寂しいn…
って…
振り向こうとして、女に帰ろうと、言おうとした かった
女が私を突き落とした 私を
女の顔はあの
『前の館の時と同じ顔』だった
違うかもしれないけど、私はそう思った
森に囲まれるその「館」は、早朝まで、いつまでも
灯りを消す事はなかった